「チラシレポート」シリーズでは、弊社でお取り扱いさせて頂いているチラシのデータを、様々な角度からグラフや表などにして、舞台業界のチラシ折り込みの状況やトレンドとして共有してまいります。
チラシという宣伝媒体が、今後どのように変化していくのかを考える際の一助となるように。また、舞台業界以外の方にとっては、このレポートを通して、劇場でのチラシ束の広告媒体としての市場価値を感じて頂けるようなものにしていきたいと考えております。
第4回目は、舞台芸術のチラシの「サイズ」に焦点を当ててお伝えします。
2004年から2021年までに弊社でお取り扱いしたチラシのデータとなるため、「劇場で配布されている」チラシのサイズとお考えください。
1)舞台芸術チラシサイズの比率推移
① A4チラシ
2004~2007年には全体の約60%だった比率は、2008年以降は、80%以上に上がりました。2020年6月以降には、その比率がまた上がり、86%を超えました。
② B5チラシ
2004~2007年には20%近くあった比率は年々減少傾向にあり、2020年6月以降は、約3%まで下がりました。
③ 二ッ折チラシ
2004~2007年には1%未満だった比率は、2012年以降、6%以上に上がりました。
④ その他
2004~2007年には18%以上の団体が、蛇腹折りや、穴あきチラシ、タブロイド、冊子、ポストカードサイズなど、様々な工夫をこらしてチラシを作成していました。2008年以降は、5%前後を推移していましたが、2020年6月以降には、若干の減少傾向が見られました。
A判は、19世紀末ドイツの物理学者オズワルドによって提案されたドイツの規格で、現在は、国際規格サイズとして使用されています。
面積が1平方メートルの「ルート長方形」(辺の比率が1:√2)が A0 になります。
B判は、日本の美濃紙をもとにした、国内規格サイズ。
面積が1.5平方メートルの「ルート長方形」が B0 になります。
かつては、紙といえば日本の用紙基準のB5版が主流。平成5年1月に「行政文書の用紙規格のA判化に係る実施方針について」が出され、そのあたりから、世間ではB5版からA4版への移行が始まったとされています。
映画チラシ同様、舞台でも「チラシといえばB5サイズ」の文化がありましたが、A4サイズでのチラシが増えるにつれて、
「少しでも目立ちたい」
「B5サイズだと埋もれてしまう」
と考える作り手が増え、加速度的にA4サイズへの移行が進んだと考えられます。
(印刷料金が、B5サイズよりもA4サイズの方が安いという時期もあったことも、後押ししたと考えられます)
なお、映画チラシにおいて、今もB5サイズが主流なのは、配架ラックがB5サイズのみ入れられるものが多いことも、大きな要因となっていると考えられます。
2)おちらしさん美術に折り込みされているチラシ・DMのサイズの比率
舞台芸術との大きな違いに、ポストカードの比率が多いことが挙げられます。
ポストカードサイズのチラシ(DM)が、ギャラリーで展示をするアーティストにとっての紙媒体による宣伝活動の主流となっており、おちらしさん美術を利用されるアーティストの方からも、DMをお預けいただいております。
美術展の主催者は、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、アウトドアメディア、SNSも含めたインターネット広告など、様々な宣伝活動を行っている方が多く、各媒体における最適な宣伝方法を考え、実行されています。
チラシ宣伝においては「チラシでできること・チラシを通した体験」と「チラシで伝えられる情報」に着目されており、色味や手ざわり、印刷技術へのこだわりの強いチラシを、ネビュラエンタープライズでも、多くお預かりしております。
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ネビュラエンタープライズでは、チラシの折り込みに丁合機を利用しております。
様々な紙質のチラシを安定的に素早くまとめるための「職人技とその思い」を綴ったインタビュー記事も、ぜひご一読ください!
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「チラシレポート」バックナンバー
vol.1 コロナ以降のチラシ折り込み規模の変化と傾向
vol.2 おちらしさん会員数と属性データの変遷
vol.3 チラシを使った宣伝開始のタイミング
vol.4 舞台芸術におけるチラシサイズの変化
vol.5 2021年と2022年の「折り込み代行サービス」