「チラシレポート」シリーズでは、弊社でお取り扱いさせて頂いているチラシのデータを、様々な角度からグラフや表などにして、舞台業界のチラシ折り込みの状況やトレンドとして共有してまいります。
チラシという宣伝媒体が、今後どのように変化していくのかを考える際の一助となるように。また、舞台業界以外の方にとっては、このレポートを通して、劇場でのチラシ束の広告媒体としての市場価値を感じて頂けるようなものにしていきたいと考えております。
第3回目は、公演団体の皆様が、いつ頃から、チラシによる宣伝を開始しているのかを「仮チラシ」と「本チラシ」にわけてお伝えいたします。
【仮チラシとは】
「速報性」「第一報」で注意をひくことを目的としたチラシ
作成時点で確実に決定している公演概要のうち、「重要なこと・お客様の目を引くことのできること」が掲載されています。※公演によって何をトピックとするかは変わります。
・タイトル
・大まかな時期
・キャスト(配布先と共通のキャスト)
・脚本家・演出家
・上演方法
・会場
・最速チケット申し込み開始日
デザイン面ではほぼテキストのみの構成であっても、押したい情報に特化して文字組みなどを工夫することでドラマチックに掲載しようとする傾向が特徴として挙げられます。
※猫のホテル「ピンク」仮チラシ
【本チラシとは】
ビジュアルで作品イメージを想起 + 作品内容で興味をひきつけるチラシ
紙を使って表現できることを駆使して、「興味を引く」→「見たい! 行きたい!」までを担っています。
・キービジュアル
・あらすじ
・企画意図など
・スケジュール詳細
・会場地図
・キャスト写真
・スタッフ詳細
・チケット情報
コロナ禍下ではとくに、タイムテーブルなど変更の可能性がある項目はあえて載せずに、公式WEBページへの導線を作るといったチラシも増えています。
※猫のホテル「ピンク」本チラシ
1)チラシ束に折り込まれる、「仮チラシ」と「本チラシ」の比率
2019年と2021年の比率の変化は、以下でご紹介する「仮チラシ」の配布開始タイミングの変化と「本チラシ」の配布開始タイミングの変化の「差分」に、大きく影響を受けております。
2-1)「仮チラシ」を利用した宣伝開始タイミング
※チラシ配布開始日から公演初日までの間隔
仮チラシの配布タイミングの平均は、以下のようになりました。
【2019年】4.2ヶ月前
【2021年】3.0ヶ月前
当社のデータからは、2019年には25%以上の仮チラシが6ヶ月以上前から宣伝を始めていたところ、2021年は12%程度まで減っていることもわかりました。
「速報性」に効果のある仮チラシが、「公演情報を公開するべきか」の判断の後ろ倒しにともない、その利用傾向に大きく影響を受けていることが明らかとなりました。
2-2)「本チラシ」の配布開始タイミング
※チラシ配布開始日から公演初日までの間隔
本チラシの配布タイミングの平均は、以下のようになりました。
【2019年】1.8ヶ月前
【2021年】1.2ヶ月前
本チラシが、0.6ヶ月という配布開始タイミングの変化は、情報確定が遅くなっていることや、「チケット前売発売の開始が後ろ倒しされていること」が大きく影響していると考えられます。
チラシのより効果的な活用方法を考えるとき、仮チラシでは、掲載したい内容を配布先や時期によって内容を変えることで、「かわら版」のようなツールとして用いたり、本チラシでは、ビジュアルや作品内容を重視し、いくつかの情報が確定していない状況でも配布し始めるなど、コロナ禍下で公演実施に様々な制約がある中、それぞれのチラシが持つ特性を利用した宣伝方法のアレンジが可能かもしれません。
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「チラシレポート」バックナンバー
vol.1 コロナ以降のチラシ折り込み規模の変化と傾向
vol.2 おちらしさん会員数と属性データの変遷
vol.3 チラシを使った宣伝開始のタイミング
vol.4 舞台芸術におけるチラシサイズの変化
vol.5 2021年と2022年の「折り込み代行サービス」