公演・美術展チラシの年間大賞を決める「おちらしさんアワード2024」。5度目となる2024年版は、舞台版より『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-』、美術版より高島屋史料館TOKYO『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』が年間大賞に決定いたしました!
決戦投票の結果は、本日2月5日(水)、おちらしさんWEBにて発表しております。一次投票・決戦投票では、2024年を彩った素晴らしいチラシの数々に、大変多くの熱い想いとコメントをお寄せいただきました。多くの皆さまにご参加いただき、本当にありがとうございました!
開催やチラシのご紹介にあたり、ご協力をいただきました公演・展示主催団体の皆さまにも心よりお礼を申し上げます。
▽「おちらしさんアワード2024」結果発表・特集記事▽
【舞台版】思わず誰かに話したくなる唯一無二の個性を放て…!「おちらしさんアワード2024~舞台版~」結果発表&上位チラシ解説・受賞コメント|おちらしさんWEB
【美術版】あなたを展示へ連れゆくデザイン!「おちらしさんアワード2024~美術版~」結果発表&上位チラシ解説・受賞コメント|おちらしさんWEB(ネビュラエンタープライズ)
■おちらしさんアワードとは?
「おちらしさんアワード」は、年に一度開催される“チラシの祭典”。その年に観客の皆さまのお手元へ渡ったチラシに、再び光を当てるイベントです。2020年よりネビュラエンタープライズが主催し、今年は5度目の開催となります。
全国の舞台・美術展ファン、チラシファンの皆さまに、一推しの1枚へ投票していただき、多くの票数を集めたチラシとその作り手の方々を表彰いたします。
これまでの開催では、舞台公演・展示主催団体やチラシデザイナーの皆さまからも、チラシに焦点が当たり、観客・鑑賞者からのリアルな反響が得られる新しい機会として大変ご好評をいただいてまいりました。また、「チラシ」を用いた話題作りをすることで、チラシという宣伝媒体の価値や効果を高めることを目指しています。
10~11月の一次投票では、観客の皆さまより自由記述にてお気に入りのチラシをお聴きし、一次投票で多くの票を集めた「ノミネートチラシ」全95点から、12月に決戦投票を行いました。
■ついに「おちらしさんアワード2024」年間大賞が決定!!!
【舞台版】第1位 『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-
今年の舞台版第1位に輝いたのは、『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-』。大人気コミック『女の友情と筋肉』を原作としたミュージカルの第2弾で、ハードに身体を鍛える幼馴染の女性3人組を中心に、彼女たちが仕事やプライベートに全力投球する姿が描かれるコメディ作品です。
チラシの見どころは、ドラクロワがフランス7月革命を描いた名画《民衆を導く自由の女神》がオマージュされ、勇ましくポジティブなパワーに溢れているところ。3人の友情と筋肉を模した旗を掲げたり、武器のようにバーベルやハンドグリップを握ったりする凛々しい彼女たちとは対照的に、足元には上司や恋人が横たわっています。チラシに登場する一人一人と《民衆を導く自由の女神》を見比べると、すみずみまで面白くなってしまうこと間違いなし! 自由の道を切り開く女神と人々に重ね合わせた逞しい女性像は、どこかおかしくてキュート。このパンチにやられ、思わずチケットを取ってしまったという方も多数いらっしゃったほか、おちらしさんアワードでも圧倒的な支持を集めました!
『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-』決戦投票コメント
★こんなチラシ見ちゃったら、舞台見に行くしかなくない!?って勢いでチケットを取ってしまった、あまりに衝撃的なビジュアルでした!インパクトもあるのに見れば見るほどディテールの気づきもたくさんあっていまだに取り出して眺めて舞台を思い出してふふ、と1人幸せな余韻に浸っています!(ちさ/20代/千葉県)
★チラシ作ってた人、絶対楽しかったと思うんですが!(139(いさく)/40代/東京都)
★強いのは、“女”でも“男”でもなくて、“友情”と“筋肉”なんだってことを教えてくれた舞台でした。そのテーマを力強く訴える素晴らしいチラシ。おちらしさんの中に入っていてとても嬉しかったです!(のんびり/50代/東京都)
デザイナー 山下浩介さんより受賞コメント
ビジュアルが発表された日、予期せずYahoo!トレンドの一位になり、おそらく宣伝的に成功してしまった「女の友情と筋肉 THE MUSICAL」。その続編となる今作品、故にまたインパクトのあるビジュアルを作らねばというプレッシャーが非常にかかる中、プロデューサー様がこんなのどう?と提案してくださったイメージの一つが、ドラクロワ作「民衆を導く自由の女神」。
幸い私は高校生の時、好きな絵を模写という油絵の課題で、この絵を本気で描いたことがありました。描いても描いても終わらず、なんでこんな絵を選んだ…と若干の後悔をしつつも、毎日居残り休日も登校し、数十時間この絵と向かい合ったあの経験が活かせる日が来ようとは……「この絵のパロディがやりたいです!」と即答です。
早速ラフの製作に取り掛かってみると、元の絵画に描かれた人物や持ち物に、今作品に登場する個性的なキャラクターやキーアイテムが面白いようにはまっていきます。唯一改変したのは、女神が見えた人物に、指輪を持たせたことでしょうか。これにより、私の中ではこのビジュアルの影の主役は彼になり、彼の物語が乗っかってより多層的な世界観になり、単なるパロディではなくなったと思っています。
あとは、ラフ通りに撮影して、合成して、あれよあれよという間に完成です。
この度おちらしさんアワード2024第一位を頂けたとのことで、今回のビジュアルも一つ大きな結果を残せたことに安堵と感謝です。
楽しんで演じてくださった演者の皆様(困惑する方もいらっしゃいましたが…)、大事な演者様が死体になったりすることを快諾くださったマネジメント様、このために亀甲縛りを習得してくださった制作様(しばらくSMのグッズや出会い系サイトの広告に苦しまれたそうです…)、どこかから怒られたらどうしようというビビリな私の不安を全く問題なしと一掃してくださった法務部様、このようなデザインを製作できる場を与えてくださったプロデューサー様、何より、面白がり、応援、投票してくださったたくさんのお客様、そして数年に渡りお世話になりましたおちらしさん、誠にありがとうございました。
『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-』公演概要
■ <プレビュー公演>なかのZERO 大ホール
2024年5月17日 (金)
■ <大阪公演>森ノ宮ピロティホール
2024年5月25日(土)~26日(日)
■ <東京公演>品川プリンスホテル ステラボール
2024年5月30日(木)~6月9日(日)
公演HP:https://onna-kinniku.com/
「おちらしさんアワード2024~舞台版~」結果発表
第1位 『女の友情と筋肉 THE MUSICAL -幸せの上腕二頭筋-』
第2位 2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演 いのうえ歌舞伎『バサラオ』
第3位 PARCO PRODUCE 2024『破門フェデリコ ~くたばれ!十字軍~』
第4位 花組ペルメル『長崎蝗駆經~岡本綺堂「平家蟹」による~』
第5位 日生劇場 絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』
第6位 CAT-A-TAC『こころ』
第7位 レティクル座の〝サ劇〟『 真・バトルサウナー城崎』
第8位 東京芸術劇場『Le Fils 息子』
第9位 南極ゴジラ 第6回本公演『バード・バーダー・バーデスト』
第9位 ロロ 劇と短歌『飽きてから』
第9位 ナイロン100℃ 49th SESSION『江戸時代の思い出』
▽第2位以降のご紹介・受賞コメント・解説は特集記事にて▽
思わず誰かに話したくなる唯一無二の個性を放て…!「おちらしさんアワード2024~舞台版~」結果発表&上位チラシ解説・受賞コメント|おちらしさんWEB
【美術版】 第1位 高島屋史料館TOKYO 『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』
美術版で第1位に選ばれたのは、高島屋史料館TOKYO『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』。2012年に惜しまれながらも閉館したサハリン少数民族の資料館「ジャッカ・ドフニ」から、北海道立北方民族博物館に引き継れた所蔵資料を、東京で初めて公開した展示です。
こちらのチラシはしんと冷たく澄んだ空気や、在りし日のジャッカ・ドフニの姿、雪原となった大地の広さなど、ジャッカ・ドフニの存在した網走の空気感をそのままに伝えてくれる点が特徴。白銀の世界に佇む様は心地よい温かな雰囲気を味わえます。さらにイラストに誘われてとチラシに近づくと、題字部分が刺繍で表されており、手仕事のぬくもりや、生活文化の歴史をそっと感じさせる工夫も。伝えたいことがひとつひとつ丁寧に、大切に、表現されたチラシを手にすることで、展示とも真摯に向き合ってみたくなります。
『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』決戦投票コメント
★スッキリとしていて、キレイな空の青と凍てつく大地とそこに住む人。とても美しいチラシでした。(花岡さかえ/60代/奈良県)
★どうしても見たくて京都からかけつけた展覧会です。熱冷めやらずそのあと網走の北方民族博物館へも行くきっかけを作ってくれたのはこの一枚のチラシと言っても過言ではありません。北海道のアイヌ民族の人々よりもさらに、知られることの少ないウイルタの人々の暮らしと文化にまつわる展示を、東京という大都会で企画してくださったことに心から感謝します。(まるるん/50代/京都府)
★まったく未知のテーマの展示だったのにチラシのデザインに心奪われはるばる山陰から見に行きました!気温や大気を感じるような色合い、刺繍文字の再現も目を惹きます。(いくらの天ぷら/40代/鳥取県)
高島屋史料館TOKYO館長・学芸員 海老名熱実さんより受賞コメント
1位に選出いただいて誠にありがとうございます。とても嬉しいです。
本展において、ちらしのメインビジュアルは、展示の一部ともいえる重要なものでした。在りし日のジャッカ・ドフニをどのように伝えるべきか、制作チームみんなで悩み続け、議論し、こだわり抜いてつくりました(例えば色校正は、資料借用で北海道立北方民族博物館にうかがうタイミングにあわせて、かつてジャッカ・ドフニがあった北海道網走の地で、その空気を感じながら行いました)。
ここに描かれたジャッカ・ドフニの風景とともに、本展が、一人でも多くの方の記憶に残ると嬉しいです。グラフィックデザインを担当してくださったUMA/design farm原田祐馬さん、岸木麻理子さん、イラストレーター嶋田里英さん、そして本展に関わってくださった北海道立北方民族博物館 笹倉いる美さん、EIKA studio榮家志保さん、橋本亜沙美さん、その他ご協力くださったみなさま、本展に関心をお寄せくださった方々に、心から感謝申し上げます。
デザイナー・UMA/design farm代表 原田祐馬さんより受賞コメント
なんと1位! ありがとうございます。展覧会が終わったあとに改めて広報物に注目が集まることがとても嬉しいです。ジャッカ・ドフニがあった場所へ担当した岸木さんと訪ね、たっぷりと積もった雪の中、その空気と光で色校正を見て、震えながら色について検討した日のことを思い出しました。
このプロジェクトに関わらせていただく中で色々なことを学び、どのようにして展示方針を広報物から感じ取ってもらうか試行錯誤を繰り返しました。そこにジャッカ・ドフニが確かにあったことを伝えるために、綿密に構造物と人の営みを描ける嶋田里恵さんにイラストレーションを依頼し、空想の世界にならないよう海老名さんと多くの対話を重ねました。
印刷はサンエムカラーさんにお願いし、全体の色調の品質もさることながら、オペークインキを二度刷りし、白い布が重なる会場構成を彷彿とさせることを目指し、見事にその質感をかたちにしてくれました。
また、タイトルデザインを刺繍文字とし、手から手へと渡され守られてきた展示物を感じるきっかけを試みたり、紙面の中で多元的な状態が生まれることで、展覧会を伝える1枚になったように思います。
いつも信頼してくれる海老名さん、空間構成を引き受けてくれたEIKA studioの榮家さんと橋本さん、イラストを描いてくれた嶋田さん、辛抱強くデザインを担当した岸木さん、そして選んでいただいたみなさまに感謝しかありません。これからも生きた広報物、いや、生きたチラシをつくり続けられるよう頑張っていきます。
イラストレーター 嶋田里英さんより受賞コメント
数多くの候補作の中からご投票いただきました皆さま、誠にありがとうございました。
ウイルタの生活の世界観を伝えることを主題に、かつてそこに存在した「ジャッカ・ドフニ」の建物とウイルタの人々を描きました。また、北海道網走の凛とした空気感や透明感、そしてどこか懐かしさを感じさせる暖かみを意識しながら制作を進めました。
この地に確かに存在していた生活や文化を、イラストレーションを通じてこうして形に残すことができたことをとても嬉しく思います。
高島屋史料館TOKYO 『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』展示概要
■〈東京都〉高島屋史料館TOKYO
2024年3月16日(土)~8月25日(日)
展示詳細ページ:https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/tokyo/archives/exhibition_vol13.html
「おちらしさんアワード2024~美術版~」結果発表
第1位 高島屋史料館TOKYO『ジャッカ・ドフニ 大切なものを収める家―サハリン少数民族ウイルタと「出会う」』
第2位 練馬区立美術館『生誕150年 池上秀畝―高精細画人―』
第3位 神奈川県立近代美術館『鎌倉別館40周年記念 てあて・まもり・のこす 神奈川県立近代美術館の保存修復』
第4位 BBプラザ美術館『明日への出発「関西の作家たちの交差点」「フランスの作家たちの物語」』
第5位 嵯峨嵐山文華館×福田美術館『君があまりにも綺麗すぎて ~福田コレクションの美人画~』
第6位 神奈川近代文学館 特別展『帰って来た橋本治展』
第7位 東京オペラシティ アートギャラリー『宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO』
第8位 BankART KAIKO『BankART Under 35 2024』
第8位 東京都現代美術館『坂本龍一 音を視る 時を聴く』
第10位 東京都現代美術館『開発好明 ART IS LIVE ―ひとり民主主義へようこそ』
第10位 東京都美術館『デ・キリコ展』
▽第2位以降のご紹介・受賞コメント・解説は特集記事にて▽
あなたを展示へ連れゆくデザイン!「おちらしさんアワード2024~美術版~」結果発表&上位チラシ解説・受賞コメント|おちらしさんWEB(ネビュラエンタープライズ)
作品や展示の内容を落とし込みつつ、いかに紙という規格の中で観客を引き込めるか、仕掛けが詰め込まれたチラシの数々。おちらしさんWEBの特集記事では、舞台版・美術版 各10位までのチラシをたっぷりご紹介しています。観客の方からいただいた投票コメント、作り手の皆さまからお寄せいただいた受賞コメントを味わいながら、チラシ1点1点にご注目いただけましたら幸いです。
もしおちらしさんアワードによって、次にチラシを手に取ったときに感じることや、チラシを作ろうとしたときのアイデアに変化が生まれたならば、心より嬉しく思います。
皆さまがさらに「チラシ」の面白さを味わい、楽しんでくださいますように……!
「おちらしさんアワード2024」概要
◆一次投票:2024年10月7日(月)12:00 ~ 11月20日(水)12:00
2024年に劇場・美術館などで配布されていたチラシ、チラシ宅配サービス「おちらしさん」で届いたチラシから、舞台芸術の公演チラシ5点、美術展等の展示チラシ5点まで、自由記述式にて特設WEBページより投票。
「おちらしさんアワード2024」詳細ページ:https://note.com/nevula_prise/n/n0882cf735e73
◆決戦投票期間(ノミネートチラシ発表):2024年12月5日(木)12:00 ~ 12月23日(月)12:00
一次投票から選出された舞台版48点、美術版47点の「ノミネートチラシ」が対象。選択式にて各投票ページより舞台版・美術版各ひとり1回1点まで投票。
舞台版投票ページ:https://seisakuplus.com/award2024stage/
美術版投票ページ:https://seisakuplus.com/award2024art/
◆大賞・結果発表:2025年2月5日(水)12:00
おちらしさんWEBの特集記事にて発表。
【舞台版】https://note.com/nevula_prise/n/nf996fdd76074
【美術版】https://note.com/nevula_prise/n/n6ac40331c164
▽これまでのおちらしさんアワード(クリックすると上位チラシの特集記事に飛びます)▽
◆2023年版◆
【舞台版】第1位 PSYCHOSIS「寺山修司没後40年記念認定事業『疫病流行記』
【美術版】第1位 下瀬美術館「開館記念展 おひなさまと近代美術 — 丸平の人形からガレ、マティスまで」
◆2022年版◆
◆2021年版◆
【舞台版】第1位 パルコ・プロデュース2021『Birdland』
【美術版】第1位 「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
◆2020年版(舞台版のみ)◆
【舞台版】第1位 ケムリ研究室 no.1『ベイジルタウンの女神』